イエシロアリ(家白蟻)

分類上の位置 等翅目 ミゾガシラシロアリ科
学    名 Coptotermes formosanus SHIRAKI
和    名 イエシロアリ
異    名 タイワンヒメシロアリ
英    名 OrientaI termite,Formosan subterranean termite,Formosan white ant
中 国 名  家白蟻,台湾泌乳


 形態
 有翅虫
 体長7〜8mm,前翅長11〜12mm。頭部は褐色。觸角・上唇・後頭楯・小腮鬚・下唇鬚は黄褐色。大腮は帯黄色で,歯列は黒褐色となる。左大腮の第1縁歯は,端歯および第2縁歯よりも明らかに短い。即ち左大腮の端歯と第2縁歯のそれぞれの先端を結んだ直線より第1縁歯の先端は外方へ出ない。右大腮の端歯と第1縁歯の基部との間には,短い副歯がある。複眼は黒色,単眼は黄色。触角は19〜21節からなり,第3節が最も短小,次いで第4節が小さい。背板は胸部・腹部とも黄褐色であるが,前胸背板中央のY字形紋・中胸背板・後胸背板はそれぞれやや淡色。腹部腹板は黄色。脚は黄色で腿節は淡色。翅は透明で殆ど無色であるが僅かに帯黄色。翅膜は細毛を密生する。他のシロアリと比較してやや幅が広い。翅根部は褐色。頭部は卵円形で細毛を生ずる。翅の径分脈(Rs)は太く,前縁を走る太い脈(Sc+Rとされる)に接近して平行に進み,翅頂近くで前縁に終わる。中脈(M)は径分脈(Rs)よりも肘脈(Cu)に接近して走るので,中脈(M)と径分脈(Rs)との間隔は他のシロアリよりも広く,この間の翅の地色は黄色味を帯びる。中脈(M)の末端は2〜3分岐し,肘脈(Cu)は後縁に向って7〜10分岐する。

 兵蟻
 体長4.5〜6.5mm。頭部は卵円形でやや扁平,体長の1/3の長さを占め,黄褐色で前方へ向って濃色となる。前頭部中央に額腺孔があって,前面 に開孔する。大腮は長く,基部赤褐色,先端部は鋭く尖り,内方に弯曲して黒褐色となる。左右とも内縁の基部近くに微小歯がある。触角は14〜16節よりなり,第3節が最も短小。前胸背板は頭幅よりも幅狭く,後縁は前縁よりも更に狭くなる。扁平で前縁・後縁とも中央に弱い切れ込みがある。

 職蟻
 体長4〜6mmでヤマトシロアリよりもやや大きく,やや太めである。

 女王
 大きくなると体長35-40mm,腹部の幅10mm近くになる。大きくなった腹部は,環節間膜が伸長したもので,腹部背板・腹板はほとんど原形のままである。

 王
 中年太りと云った感じで,腹部が太くなるが,環節間膜は僅かに伸長して,外部から見える程度である。
 女王と王は,昆虫としては寿命の長いものに属するので,標品では触角(更に稀には脚も)の末端に近い数節の欠損が見られる。巣を発した時に受けた傷痕か,標品保存中の欠落とも考えられるが,よく検鏡すると傷跡の治癒が認められる場合がある。また胸部背面 に4枚あるはずの翅根の内の1枚が,欠損した女王が1例あった。女王と王とは、職蟻に傅かれ兵蟻に守られて,好適な環境の下にあって長命を保つ。

 生態
 世界中のシロアリの内でも,最も加害の激しい種類と言われ、温暖地における建築物(木造ばかりでなく,コンクリート造であっても内装の木材)・立木の大害虫である。特別 に加工した大きな巣を建物内または樹幹内,あるいはそれらの地下に造り,蟻道を通 じて加害場所に連絡し,職蟻は水を運ぶ能力があるので被害は建物の上層部にまで及ぶ。1コロニーの個体数は100万頭に及ぶものがあると言われ,被害速度も高い。兵蟻の性質はヤマトシロアリよりも攻撃的で,巣を発くと咬み付いてくる。頭部には額腺が発達していて,前額前面 中央の円形の小孔から,乳白色の防御液を分泌するので,他種との区別が容易である。咬まれると後で痒くなる。寒さに弱く,その分布は温暖地に限られる。

 布分
 本州の南岸線(ハマオモト線ともいう,冬期最低気温-35℃のライン)以南,四国,南諸島,台湾,中国,北米にも侵入したという。